投稿

4月, 2022の投稿を表示しています

日本の国際収支状況に見る現状

イメージ
 知識をアップデートしない大人が少なくないように思える。 日本ではいまだにかつての 後進国 の発展を知らないもしくは理解できない層がいる。同様に海外にも日本を1980年代~1990年代のイメージのまま偉大な国だと依然考えている人たちが散見される。  日本はまだ、ものづくり大国や輸出で稼いでいる国だとして誤解されることが多いが、実際には2011年の震災を機に成熟した債権国へと変容を遂げたことが示唆されている。  2021年中(1月から12月末まで)の経常収支を見ると貿易収支は1兆7537億円の黒字となっている。  一方で最新の貿易統計では2021年度(2021年4月から2022年3月末まで)の貿易収支は5兆3748億円の赤字となっており、最近の国際情勢や 原油 価格を考えると今年1月から3月末まででかなり貿易収支が悪化しているのではないかと推定することができる。                                                                                                 出典:世界経済のネタ帳  日本の貿易収支の推移を見るとわかるように2011年以降、日本は貿易収支で大きく稼ぐ国ではなくなっている。一方で日本は木材を除いては天然資源を持っておらず、1次エネルギーの9割近くを輸入に頼っている。( 資源エネルギー庁 )  天然資源を輸入するためには何らかの方法で外貨を稼ぐ必要があり、貿易収支の減少は日本の稼ぐ力の減少を示唆しており憂慮すべき状況なのではないかと思われる。  しかしながら、経常収支を見た時には日本は2021年中15兆4,359億円の黒字であることがわかる。この原因はひとえに日本の第一次所得収支の20兆3811億円の黒字である。  日本はいまや金融資産の配当や投資などで稼ぐ国になっている。下記のグラフは 財務省 が出した日本の経常収支の推移表を参考に作成したものである。  これを貿易収支の推移と組み合わせて見るとやはり2011年の震災によって日本の経済の構造が輸出主導の国から2012年から2014年の低迷を乗り越え債権国へと見事に変容したことがわかる。              2022年4月24日 Lulutaso総合研究所 主席研究員 Hasetaso 参考: 令和3年中 国