財政問題は無駄に複雑に考えない。MMT論者の盲点

 日本低迷の理由は国民から税金を巻き上げた結果それを効果的に使ってこなかったからである。


 MMTの主張は必要な所には国債を発行し資金を惜しみなく使い、インフレが起きた場合は税金を上げてそれを抑制する。また、徴収した税金は消失する。政府の投資は全て国債で賄う。国債の額は政府がどれだけ資金を投じたかの記録でしかない。


 MMT理論に基づいた財政政策はただのツールである。これは批判の対象でもなければ、主に先進国が抱える財政問題を解決する策でもない。どういうことか。


 政府を含め我々は資本主義経済の中で生きており、その仕事は資源配分最適化問題を解くことである。資源とは人的資源、天然資源であり、それらは全て資本経済下で貨幣という形を取って配分されている。つまり貨幣=資源である。


 税金として貨幣を大量に集めたにも関わらず、効率的な投資をせず、資源を無駄に浪費したがために日本は低迷に陥っている。


 MMTは必要な所に資源を集める手段としては良いかもしれない。しかし国債を発行すれば物価が許す限り資金を使い続けられる中で果たして真に効果的な投資が行われるかどうか疑問である。また、国債を発行してインフレが起きた場合、それは国民にとって実質的に増税と同じ効果を持つため、投資をうまく行わなければそれも資源を食いつぶすだけで終わってしまう。


 つまり、我々が財政問題に直面しているのは、資源の有効活用に長年失敗してきたからであり、政府が集めた税金をうまく使ってくれるのであれば、その方法がMMTを利用した財政政策であろうが、現行の構造であろうが関係ない。


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