理想主義者は投資で勝てない

聖書では以下のような文章が出てくる。


マタイによる福音書 7:13-14

「狭い門から入りなさい。 滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。 しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。 それを見いだす者は少ない。」


また投資の分野では以下の言葉が頻繁に引用される。

「人の行く裏に道あり花の山」


基本的にどちらも同じことを述べている。この教訓は特にここ数年の金融市場や労働市場において生きていたと考えることができる。

その例は枚挙にいとまがない。


まずはトヨタ自動車の株価が代表例として挙げられる。世界の車がEVにシフトすると言われる中で、トヨタ自動車はその潮流に乗り遅れていると考えられていた。一方で、EVには問題が多々あった。一つには価格が高価なことやトータルライフサイクルとしての環境負荷に関してはいまだ疑念が残ることなどが挙げられる。トヨタ自動車は、世間的に環境に悪い企業としてレッテルを貼られ続ける印象操作をされていることを尻目に、その株価はここ1,2年で2倍に達しようとしている。消費者はEVシフトを受け入れる準備がまだできておらず、当面はハイブリッド自動車が覇権を握るという投資家のコンセンサスが一般人の知り得ぬところで出来上がっていたのである。


また、大衆と反対のことをすることで利益があったこととして、ビットコイン投資やレバナス投資などが挙げられる。ビットコインやレバナスと呼ばれる金融商品は百戦錬磨の投資家の間でも小馬鹿にされていることが多々あった。実際にはここ数年でそれらに資金を投じた人は大きく利益を上げることとなる。


労働市場においては、オフィス業務やIT分野など、キラキラした職業に人材が殺到する中、今後はAIで置き換えができない肉体労働が日の目を見ることになると考えられる。

今後のこの潮流に乗るには、建設業などに資金を移動することが考えられる。もっとも、ゼネコンは労働力を直接持っているというわけではないのではあるが・・・。


とにかく、現実に生きている我々は、理想ではなく現実を見て生きていかなければならない。一般人がこれからは持続可能エネルギーだと気づいた時にはソーラーパネルや風力発電を提供する企業の株価が下落トレンドに入っていた。また、世間が持続可能エネルギーに移行しようとする中で、原油や原油生産を担う企業群をゴミを見る目で見ていた時に、原油価格は上昇していくのであった。理想主義では確かに、地球温暖化を招く原油の利用は直ちに止めるべきではあるが、現実世界はそれを全く許容できる状況ではなく、原油の需要はそこにあり続けるのであった。理想主義に溺れていては、それを見誤ってしまうのである。理想を学ぶのはとても重要なことだが、我々は現実に生きていることを忘れてはならない。





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